ただ
転んでも
誰か隣にいれば
また 走り出せる、だろう?


『ターコイズ』



泣いたって仕方がないと、思った。
そんなことをしても、現実は何も変わらない。
つらい、というのとは少し違う気がしていた。
どちらかといえば、苦しい、ような。


その苦しさを、
吐き出したくて
でも誰にも吐き出せなくて
気がついたら、ケータイにかけてた。

「一宮。今から行くから」
「待ってろ」

そんなつもりじゃなかったのだけど。
むしろ今は誰にも会いたくないと思っていたのだけど。
それでもそういって一方的に切られてしまった電話を、
来ないでくれ、と掛けなおすことはなかった。

どうして・・・・、だろう?


そんなことを考えている間にチャイムが鳴った。
出てみるとやっぱり獅子川だった。
「・・・・早いな」
「おう。走ってきたからな!!」
「・・入れよ。茶ぐらいでよかったら出すよ」
「おう!悪いな!」
無駄なほどに明るい。それが獅子川のとりえだ。
呆れつつも少しうらやましいと思ってる、とは絶対口にはしないけど。

獅子川はもう知っているのだろうか?
だから、わざわざ来てくれたのだろうか?走って。
同情、・・・・されているんだろうか?

「獅子川」
「お。茶さんきゅ。」
「あのさ」
「うん」
「知ってるのか?」
「・・・うん」

やっぱり。
同情されてるんだろうな、と思った。
情けないもんな。俺自身情けないと思うし。

「獅子川。・・・茶飲んだらもういいから帰れよ」

自分は今どんな顔をしてるんだろうか。考えたくもない。
もうそれ以上情けない顔を曝したくなくて獅子川に背を向けて座った。
はやく、ひとりになりたかった。

「帰らねェよ」
「そばに、いる」

「まってる」






「・・・・・待ってなくて、いい」
「お前は止まる必要なんて、ないだろ」

「俺は俺のために走ってるんだから」
「止まるのも、誰かを待つのも俺の自由だろ?」

「一緒に走ろうぜ」







「・・・・・・・クサい」
「あ。やっぱり?」
笑ったら、涙が出てきた。


手を、差し伸べてくれなくてもいいんだ。
きっとひとりで立てるから。立たなければいけないから。
ただ
ただ
隣で待っててくれるなら

それで


「・・・充分。」
「ん?一宮何か云った?」
「何も云ってない」
「え?もッしかして俺への愛の告白とか?」
「・・・・馬鹿」



迷いも
不安も
恐れも

挫折すら抱いて
走って、いけるから












+End+













くさのさまさまさまでございます。
実はこの小説はずっと前にもらってたりしたんですが独り占めしておりました。
開設祝いにもらったものだから去年のクリスマスくらいかな・・?
独り占めするのは惜しすぎるので今回もらった分といっしょにアップですよ。
ほんのりシリアスなのに何でこんなにも温かいんでしょうか!

くさのさんほんとうにありがとうございました! またよろしく!
もいもい!













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